犯罪被害
よくある相談の例
- 傷害事件の被害者になって裁判所で証言をしなければいけないが,加害者が怖い。
- 性犯罪の被害者になってしまったが,裁判所で自分の名前や住所が明らかにされてしまうことはないのか。
- 交通事故で親が亡くなった。加害者の裁判に出席して質問したり意見を述べたりしたい。
- 加害者に慰謝料請求したいが,民事裁判を起こすしか方法はないのか。
- 検察官が加害者を不起訴処分にしたことに納得がいなないが,不服申立てはできないのか。
Q&A
裁判手続の中で被害者を保護する制度はどのようなものがあるか。
被害者が裁判所で証言をする場合に精神的な不安から保護するための制度として,保護者やカウンセラーの付添い,被告人や傍聴席との遮蔽,ビデオリンク方式での尋問(証人が別室からテレビモニターで尋問に答える)などの制度があります。
また,被害者の氏名や住所などを法廷で公開しないように求めることもでき,裁判所が決定した場合には,起訴状朗読などの際に被害者の氏名や住所等が読まれない形で手続が行われることになります。
被害者が裁判の中で意見を述べることはできるのか。
被害者は裁判所に申し出ることにより,被害の心情等の意見を法廷で述べることができます(刑事訴訟法292条の2)。
この他,被害者参加制度の一内容としての意見陳述も認められています。
被害者参加制度とは何か。
殺人や自動車運転過失致死等の一定事件について,被害者の申出があり裁判所が相当と認めたときに,被害者が刑事裁判手続に参加することができる制度です。
参加の具体的内容としては,①公判期日への出席,②検察官の権限行使に対する意見申述,③証人尋問,④被告人質問,⑤事実または法律の適用に対する意見申述です。
被害者参加には,弁護士(被害者参加弁護士)を選任することも可能です。また,資力が一定の基準以下の方であれば,国選被害者参加弁護士を選任してもらうこともできます。
損害賠償命令制度とは何か。
殺人や傷害などの一定事件の審理をしている地方裁判所に対し,被害者や相続人が,被告人に対する損害賠償命令を発してもらうことを求める手続です。
被告人が有罪判決を受けると損害賠償命令事件の審理が始まり,原則として4回以内の期日で命令が出されるか決定されます。
損害賠償命令制度は,通常の民事訴訟で損害賠償を請求するよりも費用が低くおさえられ,迅速な手続で早く結論を得ることができる制度になっています。
検察審査会制度とはどのようなものか。
加害者が不起訴処分となった場合,被害者や遺族は検察審査会に対して,審査の申立てをすることができます。
検察審査会は,申立てに対して審査を行い,起訴相当・不起訴不当・不起訴相当のいずれかの議決をします。
起訴相当または不起訴不当のいずれかの議決がされた場合には,検察官が再度事件の捜査を行って,処分を決定することになります。